急性中耳炎
1.急性中耳炎は、風邪をひいて鼻の奥におこった炎症が耳管という管を通って中耳に広がったものです。決して耳の穴の方から菌が侵入して起こるものではありません。鼓膜に穴があいてなければ、お風呂で耳にお湯がはいっても中耳炎の原因にはなりません。それよりも鼻炎があって鼻汁が多いと中耳炎は治りにくくなります。鼻炎がある時に強く鼻をかむのは、菌を中耳に送り込むことになるので良くありません。鼻をかむ時は、片一方ずつ静かにかんでください。
2.中耳炎にかかると、耳が痛み、熱がでて、聞こえが悪くなります。炎症がひどくなると、膿がたまり、鼓膜を破って外にでてきます。これを耳漏といいます。全く痛みの無い中耳炎もあり、小児科で風邪の治療で薬を服用していても熱が下がらない時は、中耳炎を疑ってみる必要があります。
3.治療としては、お薬(抗生物質と消炎酵素剤)の内服と耳の中への抗生物質の点耳をおこないます。抗生物質は菌を殺す薬で消炎酵素剤は鼻炎を治す薬です。人によっては、抗生物質を服用して、下痢することや、体に発疹が出ることがあります。そんな時には、お薬を服用するのを中止して、翌日すぐ医師に相談して下さい。鼓膜の奥に膿がたまっていそうな時にはメスで鼓膜を切って膿をだします。中耳は頭蓋骨の中まで広がっていますので、お家に帰ってからもまだ膿が出続けることがありますが、心配はありません。見えている範囲だけ濡れたガーゼできれいに拭きとってあげて下さい。そのままにしておくと、かぶれの原因になります。メスで切ったあとは3~5日位できれいにふさがり、後で聞こえが悪くなるようなことはありません。逆に、切らずにいると、滲出性中耳炎に移行したり、中の膿が自然に鼓膜を破って出てきた時は、鼓膜の穴がなかなかふさがらず、難聴が残ったりすることがあります。
4.お風呂は、熱がなければ、耳の中にお湯が入らないように気をつけて入ってください。運動は、激しいものでなければかまいません。治療の途中で、調子がいいからといって、お薬を中止したり、治療をやめたりしないで下さい。慢性中耳炎になる場合がありますので、もうよいと言われるまで、医師の指示にしたがってください。また、一度良くなっても、しばらくの間は風邪をひくと再発することがありますので、鼻水の量が増えたらすぐに耳鼻咽喉科を受診して下さい。
たてはら耳鼻咽喉科クリニック
院長 蓼原 東紅